グーグル翻訳がさらに進化した社会で、我々は英語を学ぶ必要があるのか?

「英語を習得すれば、あなたの給料は劇的に増加すると言われています。」

上の文章について、あなたはどう思いますか?英語力が給料に影響を与えるのは過去の話だと思いますか?それとも現在も有効でしょうか?…ところで実はこの文章、 "It is said that if you master English, your salary will dramatically increase"という英文をグーグル翻訳で日本語にしたものです。コンピューターが作成した日本語だということに気がつきましたか?

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2016年の秋に、グーグルはニューラルネットワーク機械学習と呼ばれる技術を翻訳システムに導入しました。結果はご覧の通り、グーグル翻訳の進化は驚異的です(参考:Google Japan Blog: Google 翻訳が進化しました)。現時点でのクオリティも申し分ないのですが、このシステムの凄いところは、ユーザーが利用を重ねるごとに、より自然な翻訳ができるよう自動的に成長していくことです。ドラえもんの秘密道具、ほんやくコンニャクが登場する日もそう遠くないかもしれません。さて、そこで今回の本題です。テクノロジーが急速に進化していく現代、我々は英語を学ぶ必要があるのでしょうか?

 

グーグル翻訳が進化しても語学を学ぶ意味は、ある!

 あえて「英語」ではなく「語学」と書きました。私の結論は、英語を学ぶ重要性は下がるが、語学を学ぶ重要性は変わらないです。どういうことか下に説明していきます。前提として、下記のようなウェアラブルなデバイスを身体に装着し、高いクオリティでの同時機械通訳が実現された時代を想定しています。

語学学習による拡散的思考(divergent thinking)の発達

バイリンガルの人は一般の人に比べて、創造性 (creativity) に優れているといいます。その要因として、二つの異なる言語システムを同時に操ることで伸びる認知能力、バイリンガルになる過程の多文化経験などが挙げられています。では、第二言語として外国語を学んだ人でも、同様に創造性へプラスの影響があるのでしょうか?そのことを研究したThe Effects of Foreign Language Learning on Creativityという論文がありました。そこには、こう書かれています。

The present study found that mastering a foreign language in a classroom context dramatically increases the four components of divergent thinking ability, i.e. fluency, elaboration, originality, and flexibility. This asset can be ascribed to the cognitive developments that might have been brought by this experience (needs to be investigated) as is caused by bilingualism, or the intensive training offered in an atmosphere that is different from those experienced at school or home. 

簡単に翻訳すると、「第二言語の習得は拡散的思考の四つの要素である、流暢性・具体性・独自性、柔軟性を劇的に向上させることが判った。これらはバイリンガルと同様に認知能力の発達の結果か(さらに調査が必要)、もしくは家庭や学校と異なる環境で集中的なトレーニングを行った結果である。」ということです。

ちなみに、拡散的思考というのは、創造的なアイディアを出す為の思考プロセスです。ブレーンストーミングなどがその代表例で、既知の情報に囚われず、あらゆる可能性を拡散的に考え、新たな着想を得る思考法です。つまり、拡散的思考能力の向上は、創造性の向上に繋がっていきます。

急速にテクノロジーが進化していく21世紀。そんな時代で活躍するには、これまでとは異なった能力が求められます。それらは21世紀型能力と呼ばれ、その内の一つに創造性 (creativity) が挙げられています(参考:FRAMEWORK FOR 21ST CENTURY LEARNING)。創造性を伸ばすことができる語学学習、たとえ機械同時通訳が発達していたとしても、語学を学ぶ意義が充分にあるのではないでしょうか?

 

異文化理解としての語学学習 

語学を学ぶ重要性のもう一つがこれ、異文化を理解するということです。僕は言語の役割を大きく情報伝達人間関係構築の二つに分けることができると思います。

よくニュースなどで目にする、「グローバル化していく現代では、共通言語である英語は必須だ」という議論。これは前者の分類です。事実、ビジネスの世界では英語が共通語として使用されます。例えば、日本人と韓国人が中国人が一つのテーブルに座れば、使用される言語はまず英語でしょう。それがインド人・カンボジア人・ドイツ人の組み合わせでも同じです。このような文脈であれば、高度に発達した機械同時通訳を使用しても全く問題ないはずです。すでに多国籍でオフィシャルなカンファレンスには同時通訳が入っていますし。これが僕が英語学習の重要性が下がると考えている理由です。

一方で、言語には人間関係構築の役割があります。これは海外に行ったことがある人は経験があると思いますが、英語で話しかけるのと、現地語で話しかけるので、相手のリアクションが変わります。相手の言語を学ぶということは、相手の文化への尊重や好意を意味し、円滑に人間関係を作ることができます。例えば、僕が好きな映画の一つ「パッチギ」では、日本人高校生を演じる塩谷瞬が、在日朝鮮人を演じる沢尻エリカに一目惚れし、塩谷瞬が親しくなりたい一心で朝鮮語を勉強することから二人の恋が始まります。二人は日本語を使って情報伝達することはできましたが、人間関係を構築するために朝鮮語が必要だったのです。機械翻訳を使っては二人の恋は成就しなかったでしょう。

グローバル化していく21世紀

これから世界は更にグローバル化していきます。現在、イギリスのEU離脱やアメリカのトランプ大統領の誕生など、ナショナリズムの台頭が顕著ですが、これは急速に進むグローバル化への反動に過ぎません。というのも、テクノロジーの進化によって人間の力が増大し、一国が地球規模の影響力を持ちえるので、グローバルに連携していく必要性が必ずあるからです。

世界経済フォーラムグローバルリスク報告書(2017年度版)によると、今年に起こりうる最大のリスクとして、異常気象、大規模な移民、自然災害、テロ、サイバー攻撃が挙げられています。いずれも一国単位の問題ではありません。国際的に協力し、取り組むべき問題です。そんな時に必要なのが、相手の国の事情や文化を理解できる能力です。自分が正しいと信じていることが、相手にとっては正しくないかもしれません。文化を跨ぐとそのようなことは日常茶飯事です。

第二言語を学ぶ過程で、その言語のネイティブスピーカーとの交流は欠かせません。その国に留学をし、現地で生活することもあるでしょう。その国の代表的な小説を読むこともあると思います。そうした経験を通じて、日本にはない新しい価値観を身体に吸収していきます。また、時には自分が差別を受けるかもしれません。「そんな下手な○○語を使うな!」と罵倒されるかもしれません。人は、自分がマイノリティであるという体験をしてようやく、周囲のマイノリティの心情を理解できるようになるものです。第二言語を習得するうえで発生するプラスの体験もマイナスの体験も、グローバル化が進む21世紀の生活を豊かにしてくれます。

 結論

もしグーグル翻訳がさらに高度に進化したら…

  • 情報伝達をする為の共通言語(英語)は、機械同時通訳へ置き換わる
  • 創造性、異文化理解力を身につける為の語学学習の重要性は変わらない

というのが僕の意見です。今日現在で大学生ぐらいであれば、まだ英語を勉強した方がいいと思いますが、これから生まれてくる子供達が学ぶ言語は必ずしも英語でなくていいと思います。異文化理解という観点では、文法の類似性がある韓国語でもいいかもしれませんし、日本が避けては通れない外交相手の中国語でもいいかもしれません。いずれにせよ、情報を伝える為の手段は機械に任して、人間同士の深いコミュニケーションに特化していくべきです。それには、異文化を理解する能力が必要で、語学学習がうってつけの学習手段であるということです。

さあ、果たして機械同時通訳は何年後に誕生するのでしょうか。我々は非常にエキサイティングな時代に生きてますね。

 

 

ビジネス英語を習得する為の勉強法とその記録

久しぶり(そしておそらく最後)の英語学習についてです。語学学習において、目標設定は人によって様々ですが、社会人の方はビジネス英語の習得をゴールにしている人も多いと思います。しかし、大人になってからの独学で、そんなレベルに達することが出来るのか疑問に感じることもあるのではないでしょうか?このエントリーは、25歳になってゼロから英語を始めた僕がビジネス英語レベルに到達するまでの学習記録です。万人に共通する勉強法ではないかもしれませんが参考にして頂けると幸いです。

 

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*オーストラリアの空。太陽の色が違って見える。

これは 英語底辺が日常会話レベルまで辿り着く勉強法とその記録 の続編です。前回の記事を要約すると下記のようになります。

  1. 英語学習には2000時間が必要
  2. 日々の勉強時間を記録する
  3. 音読と瞬間英作文を中心に取り組む

これを継続すると間違いなく効果が出るのですが、一つの大きな問題があります。それは、2000時間に到達する前に、飽きがくること。語学はやれば誰でも身につけられます。しかし、その"やる"のが何よりも難しい。なので、文法などの基礎学習が終われば、どれだけ学習そのものを日常化できるかが、高度な語学力を習得する鍵だと僕は断言できます。これから紹介する勉強法も、アイディアは一貫して、これまで日本語でしていたことを英語でするというものです。尚、文法の学習など、基本的なところは本エントリーでは扱いません。英語学習を始めたばかりという方は前編を参照ください。

 

現在の英語力

先に現在の僕の英語力に触れておきます。2017年2月に英語でKindle本を出版しました。初級から中上級までを網羅した日本語の文法書です。 Writingに関しては専門的な内容を問題なく表現できます。Readingは洋書を辞書つきで読める、Listeningは洋画を英語字幕つきで見れる、Speakingは英語でプレゼンやミーティングができる、といったようなレベル感です。TOEICは必要性を感じないので受けていませんが、現在の英語力はビジネスレベルであると言って差し支えないと思います。

ちなみに、前エントリーを書いた2013年10月時点で受けたTOEICは560点でした。まさに日常会話レベルの英語力だっと思います。友人と飲みに行ったりする分には問題ないけど、深い議論になるとついていけない、ネイティブ同士の会話となれば全く無理な状態でした。それから3年強、見違えるような成長だと自分でも思います。

 

ビジネス英語へ到達する勉強法

語学力はReading・Listening・Writing・Speakingの四技能に分類することができます。もしビジネス英語を、”英語を使ってビジネスができる”と定義すれば、人によって必要な技能が異なると思います。仕事でReadingとWritingしか必要ないということであれば、その二つに集中して取り組むのもありだと思います。

僕の場合は四技能とも仕事に必要で、それぞれバランスよく勉強する必要がありました。音読と瞬間英作文は全体的に語学力が向上する素晴らしいメソッドですが、2000時間に達するまでそれらを繰り返すのは大変な作業です。そこで、学習そのものを日常化することが重要になってきます。日常化となれば学習を負担に感じることはありません。毎日歯を磨くように、毎日少しずつ英語力を磨いていきましょう。

 

Reading編

少し極端なことを書きますが、あなたがもし日常的に新聞を読むなら、まずそれを止めましょう。本でもマンガでもSNSでも同様です。日本語で文章を読む時間を減らし、英語で文章を読む時間を増やしましょう。一日は24時間しかありません。時間の絶対量は増やせないので、時間の使い方を変えることがポイントです。僕は日本語で本やニュースを読むことを止めて、下記の英語のものを利用していました。

 

学習者用に簡単な単語が使われているので、英語の文章に抵抗がある人はまずこれから読み始めると良いと思います。Yahooニュースなど、ニュースサイトをなんとなく読んでいる時間をこちらに切り替えましょう。

 

日経新聞を止めたら仕事に支障があるという人は、英語版を読みましょう。アジアのニュースなので、内容が日本語版と異なりますが、最低限のトピックは抑えられるはずです。むしろ、人とは違った視点が得られるかもしれません。※無料版は読める記事数に制限があります。

 

語彙の難易度が高いですが、コンテンツが非常に良質で、なおかつ安い。音源つきなのでリスニングも鍛えられます。僕も現在も購読しています。グローバルに活躍するビジネスマンは必読だと思います。

 

指定したキーワードを含むニュースをピックアップして読むことができます。例えば、僕はインドのグジャラート州で働いていたので、ローカルニュースに詳しくなるため "Gujarat" や "Ahemadabad"というキーワードをフォローしていました。スマホの公式アプリを使うとより便利です。特定のキーワードを基にニュースを読むことによって、自分の学習が必要な分野の語彙と知識を掘り下げられます。

 

洋書は和書に比べてデジタル化が非常に進んでおり、様々な分野の本を手軽に読むことができます。また、Kindleには辞書の機能がついているので、本を読みながら単語を長押しするだけで意味を調べることができます。非常に便利。どんどん活用しましょう。いきなり洋書にチャレンジするのはハードルが高いと感じる人は、和書の翻訳版から始めるのがいいかもしれません。意味がわからないところは原書を参照することができます。

 

精読と多読

語学学習には精読・多読と呼ばれるメソッドがあります。ざっくりと概念を説明すると、精読は「一つ一つの文章を精査しながら、じっくり読み込むこと」、多読は「わからない単語は気にせず、理解度は60%ぐらいでいいので、とにかく多くの文章を読むこと」です。

いつ精読に取り組むべきかと言うと、それはReading学習の序盤です。まとまった文章を読み込むことによって、英語へのハードルがなくなり、英文を英文のまま理解できる能力が身につきます。読む文章に関しては、基本的には自分が楽しく読めるものを選ぶのが良いと思います。語彙制限本でも構いません。とにかく自分が楽しく読めるものがいいです。ちなみに、僕が生まれて初めて読んだ洋書はProblem Solving 101という本でした。

多読については、学習の全期間を通じて行います。とは言っても、特に注意することはなく、たくさんの英語に触れることがなにより重要です。僕は上であげたニュースや洋書を読んでいましたが、内容は何でも構いません。マンガの英訳版でもいいし、好きなアーティストのSNSでも大丈夫です。普段、自分が読んでいるものを英語に置き換えるということを意識して取り組みましょう。

 

Listening編

これまた極端なことを言いますが、あなたがもし日常的にテレビを見るなら、まずそれを止めましょう。ラジオでも映画でも同様です。日本語を耳にする時間をなるべく減らし、英語を耳にする時間を増やしましょう。しかし、ただ聞き流すだけでは、効果はそこまで望めません。英語のスクリプト等が一緒にあるのがベストです。以下、僕のお薦めリストです。

 

NetflixやHuluといったサービスで海外の映画やドラマを英語字幕つきで見ることができます。自然な表現をシーンに合わせて勉強できるので非常にお薦めです。日本のテレビを見るのを止めて、普段から海外のものを見るようにしましょう。お気に入りの表現をAnkiに登録して、瞬間英作文の要領で覚えていくとより効果的です。

 

みんな大好きTED Talks。様々な分野の第一人者のプレゼンテーションが公開されています。その大半に字幕があり、スクリプトのダウンロード可という至れり尽くせりのサイトです。音読パッケージのノウハウを活用して、リピーティング・音読・シャドーイングを繰り返すとより効果的です。僕は移動時間などの隙間時間に見ていました。自分が興味のあるプレゼンを見ればいいと思いますが、一応僕のお薦めも挙げておきます。

 

仕事の勉強が忙しくて英語を勉強する余裕がないというあなた、「英語を学ぶ」から「英語で学ぶ」にシフトして、一挙両得しちゃいませんか?CourseraはMOOC (Massive Open Online Course) と呼ばれるもので、世界中の有名大学の講義が無料で受けられます。少しハードルが高いですが、英語字幕がありますし、動画は何度でも再生できるのでチャレンジする価値はあると思います。僕も初めは英語力が原因で問題の意味がわからず、Certificateを得るためのテストに落ちることがありました。しかし、何度も挑戦する間に理解できるようになってきます。最近では Search Engine Optimization (SEO) - University of California, Davis を受講しましたが、問題なく修了することができました。MOOCは他にもいくつかプラットフォームがあるので、自分が興味のある、もしくは勉強する必要のある分野を検索して受講してみましょう。

 

Writing編

さて、もうここで書く内容が想像できますかね?…あなたがもし日常的に日記を書くなら、英語で書くようにしましょう。ブログ・メール・ノート・メモも同様です。基本的にWritingは書いた文章量に応じて伸びます。日本語を書く量をなるべく減らし、英語を書く量を増やしましょう。そして、重要なのは自分が書いた文章を添削してくれる言語パートナーを見つけることです。自分一人で英語を書いていると間違った表現を使い続けてしまう可能性があります。ネイティブスピーカーのパートナーがいれば、学習を効果的に進めることができます。

 

Lang-8は語学の学習者が集まり、日記を相互添削するサイトです。様々なレベルの学習者が参加していて、Writingの練習を始めるスタート地点としてはベストな場所だと思います。こちらも日本語の日記を添削してあげる必要がありますが、基本的には無料で利用することができます。

英文を書くことに慣れてきたら、ブログの記事のような少し長めのWritingにも挑戦しましょう。Lang-8は長文の添削はあまり好まれない傾向があるので、個別にやりとりをして、”日本語のスピーキングの練習60分につきブログ1記事の添削”のような交渉をすると良いと思います。言語パートナー探しはLang-8もいいのですが、italkiという語学学習に特化したSNSがお薦めです。僕はここでパートナーを3~4人見つけて、グーグルドキュメントの提案モードを使い、毎週添削をしてもらっていました。

 

写経 

Writingを集中的に強化したい人には写経がお薦めです。古典的な方法ですが非常に効果的です。やり方はシンプルで、自分が好きな本を一言一句丸写しするだけです。とても骨が折れる作業ですが、ネイティブスピーカーの文章の書き方、英語独特のリズム、適切な語彙・表現など、全てを身につけることができる優れた勉強法です。僕は学問のすすめの英訳版を写経しています。隙間時間に少しずつ進めて、現在は60%ほど終わりました。一冊の本を写経するのは時間がかかりますが、達成する頃にはかなりの力がつくと思います。

 

Speaking編

Speakingについても同様、日本語を使う時間を減らして英語を使う時間を増やすというのがポイントです。しかし、会話は一人だけで完結しないので、他の三技能に比べて日常化する難易度は高いです。僕の場合は、海外就職をして、しかも職場に日本人は僕一人という環境だったので良かったのですが、いきなり海外就職をするのはハードルが高いと思います。なので、下記のように小さく出来るところから英語化していきましょう。小さな積み重ねが大きな成果を生み出します。

 

英語で独り言

一番気軽に始められるのは英語の独り言です。"Oh my God!" とか ”I forgot it” とか簡単なところからでいいので、自宅での独り言を全て英語にします。それに慣れてきたら、道を歩いている時や電車に乗っている時に見える景色を英語で描写してみます。口に出さなくてもいいので、"This train is very crowded" とか "A woman who wears a red coat is running" みたいに、瞬間英作文の感覚でとにかく反射的に文章を作ってみてください。間違いなくSpeaking力が伸びます。また、このやり方は身の回りの語彙力が上がるので日常会話がずっとやりやすくなる効果もあります。

友人・恋人・学習仲間と英語で話す

これは周りに英語を勉強している人がいる場合に限られますが、日本人同士でもいいので日常的に英語でコミュニケーションを取るようにします。Speakingは瞬発力がものを言うので、まずはとにかく話す量を増やすことです。僕はド下手の頃から御堂筋線の電車の中とかでも英語で話していました。慣れると周りの目は気にならなくなります。英語でのビジネスは度胸も大切です。英語を使うことへのハードルをどんどん下げていきましょう。ネイティブスピーカーの友人・恋人と英語で日頃からコミュニケーションが取れればベストです。

英語環境に飛び込む

海外就職や留学だけでなく、日本の中にも英語環境は存在します。例えば、英語が学べるシェアハウス|シェアハウスのことなら【SHARE STYLE】とか。実際に僕は利用したわけではないのでレビューは出来ませんが、ググればこういうコンセプトのシェアハウスはたくさん出てきます。一度見学に行って雰囲気が良さそうなら入居してみるのもいいかもしれません。どうしても英語環境が見つからない場合は、やっぱりオンライン英会話がお薦めです。例えば、DMM英会話 とかは比較的安くレッスンが受けられます。毎朝25分英語を話してから出社をするなど、上手に習慣化できるといいですね。

 

まとめ

いきなりこれだけの大量の英語に触れると、強いストレスを感じたり、内容が理解できずに苦しむかもしれません。語学学習において大事な心構えは完璧主義者にならないことだと思います。ReadingやListeningで難しいと感じたときは、躊躇なくリソースの難易度を下げましょう。WritingやSpeakingも初めは簡単な単語だけ使っても問題ありません。"The more you use English, the better your English will get" です。前編で触れた発音、文法、音読、瞬間英作文でしっかりとした土台を作り、後は日々の積み重ねを続ければ、間違いなく英語力は伸びます。そして、有難いことに一度習慣化してしまえば、英語学習が全く苦ではなくなります。英語圏の情報は、アカデミック・ビジネス・エンターテイメント、いずれも日本語圏のそれとは比較になりません。英語が理解できれば、より有意義な日々を過ごすことができます。

長々と書きましたが、結局は"Just do it"ということに尽きるかと思います。最後に下の動画をプレゼントして、このエントリーを終わりにしたいと思います。Don't let your dreams be dreams!

 

2016年を振り返って

 少し早いですが、2016年の振り返りを書いています。時間が経つのが早い、そう言うのが毎年の決まり文句でしたが、今年に関しては時間が経つのが遅かったです。苦労したと言うか、なかなか思い通りにいかないことが多かった年でした。この1年の経験を活かして、来年は良い年にしていきたいものです…。

 

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北京大学にあった池と謎の塔

 2016年の振り返り

  • 1月 中国滞在
  • 3月 日本帰国
  • 6月 Wasabi 組織内で問題発生
  • 8月 Wasabi 運営停止
  • 9月 結婚 & 中国へ引越し
  • 11月 Wasabi 事業譲渡

 昨年末のエントリーでは、「2016年はさらに業務に集中する一年にしたい」「2016年は3月から数カ月は日本、それから東南アジア圏を訪問する」と、意気揚々に書いていました。しかし、そのWasabiの運営を途中で停止し、他社に事業譲渡しています。また、プライベートでは結婚をしました。個人として、2016年を漢字一文字で表せと言われたら、変化の「変」になると思います。自分が想像していたよりも色んなことがあった一年でした。

イベント1.  Wasabiの運営停止と事業譲渡

 2016年で一番インパクトの大きかった出来事はこれです。なぜ運営停止に至ったかをこと細かには書きませんが、共同創業者による金銭的なトラブルが原因でした。お金の価値観というものは本当に難しいです…。今となって思うのは、出資を折半にしたのが間違いだったのかなあということ。Wasabiマーケティング戦略はコンテンツマーケティング。つまり、日本語学習に関する良質なコンテンツをどんどん発信し、ブランディングを図りながらSEOを獲っていくというものでした。長期戦を覚悟していたので、出来るだけ経費を抑えて、堅実にコンテンツを作っていく毎日でした。この耐え忍ぶ期間が彼にとって我慢ならなかったんだと思います。「全然儲からんやんけ!」そんな風に感じていたのかもしれません。まあ全てもう後の祭りなんですが。

  その一方で、コンテンツマーケティングできちんと成果を出せたことは良かったです。"email in Japanese" や "は vs.が" など、ロングテールの検索ワードで検索順位一位をとっています。"learn Japanese online" や "Japanese grammar" などのビッグワードは現在10位前後。日によっては5位前後とか。コンテンツの質では他のどんなサイトにも負けていないので、さらに記事の公開を続けていけば、必然的にビッグワードも上がってくると思います。英語圏でのSEOは、コンテンツを英語で作るのが必須のため、日本人にとっては言語面でかなりのハンディキャップがありました。そこを突破できたことは価値ある経験だったと思います。

 最終的に、Wasabiはカフェトークというオンラインレッスンのプラットフォームを運営する会社に事業譲渡しました。新しくパートナーを探すか、オペレーションを自動化するプログラムを組むか、色々と悩んでいるなかで、偶然にもご縁がありました。条件面では、こちらの提示をそのまま呑んでくれ、しこりが残ることなく事業を譲ることができました。「もし共同創業者とのトラブルがなければ、Wasabiはどうなっていただろう?」たまにそんなことを考えてしまうことがありますが、そんな想像は今年までにしたいと思います。Wasabiは新しい体制の下で、さらに大きくなっていくはずです。その成長の様子を今度は遠目から見守ろうと思います。

イベント2. 結婚

 自分には縁がないと思っていました。起業したり新興国の現地採用で働いたりと、安定の対極にいる僕を受け入れてくれた妻にただただ感謝です。ですが、結婚前には「インドでもどこでも大丈夫」的なことを言っていたのに、結婚後になると「空気が綺麗なところに住みたい!」と、妻が主張を始めたことが唯一の誤算でした。まあ、結婚生活はおおむね上手くいっていると思います。こんなプライベートなことをブログに書いても仕方ないと思いますが、固定観念にとらわれず、自分たち夫婦の価値観を大切にして、幸せな家庭を築いていきたいと思います。尚、ときどき質問を受けるのですが、結婚式などをする予定は特にありません。友人の皆には個別で紹介できればなと思います。もしくは、ぜひ中国に遊びに来てください。本場の中華料理、かなり美味しいです…!

2017年の目標

  • 電子書籍の出版
  • Webアプリケーションの開発
  • 新しく打ち込める仕事に就く

 この3つが2017年の目標です。電子書籍は日本語の文法書を予定していて、既に原稿は書き終わっているので、残すは編集作業と附属のオーディオファイルの作成だけ。しかしあれですね。人生で一度は本を書きたいと前々から思っていたのですが、終わりの見えない編集と校閲にもうお腹いっぱいな感じです。かなり辛いです。しかし、日本語教育事業の締めくくりとして、最高のクオリティで出したいので、もう一踏ん張りします。無事に出版されたら、優しい皆様におかれましては、ぜひポチってください。日本人だから日本語の文法書は必要ないという人も、お年玉がてらに、ぜひぜひポチりください。

 二つ目はプログラミングの勉強について。これからも何かしらの形でWEBに関わっていくと思うので、ある程度はそこで使われている技術を理解しておきたいと考えています。今はJavaScriptを使った小規模なサイト作成程度なら出来るようになりました。このままNode.jsを覚えて、簡単なウェブアプリケーションを作るつもりです。あまり浅く広くやってもいけないと思うので、しばらくはJavaScriptを中心にやります。

 そして最後に、新しい仕事を探さないとなあと。やりたい事業があれば、また起業するのもありなのですが、当面はそれもないので、サラリーマンをするつもりです。なにか面白いプロジェクトや仕事があれば、ぜひお声がけください。事業譲渡をして、時間的にも金銭的にも余裕ができて感じたのは、人間は社会の中で生きる動物なんだということ。他人と関係を持ち、誰かに貢献することで、自身の人生の楽しみを見つけられるんだと思います。もうすぐ30歳になります。これまでよりも高いレベルのアウトプットが出せるように、気持ちを新たに仕事へ打ち込もうと思います。

 さて、皆さま2016年は大変お世話になりました。そして、2017年もどうぞよろしくお願いします。私は年明けをオーストラリアで迎える予定です。寒さに耐えきれず南半球へ行ってきます。早く冬のない国に住みたいです。それでは、皆様もよいお年をお迎えください。

お知らせ

突然のご報告ですが、8月29日をもって島原市を去ることになりました。私と共同創業者の間に大きな問題が発生し、現状の体制で事業を行うことが難しくなった為です。ウェブサイトはそのまま私が運営していくのですが、サービスの中心であったシニア世代の講師は島原に紐づいているので、実質的にWasabiはしばらく休止することになります。事業が軌道に乗りかけていただけに無念です。また、我々を応援してくださっていた方々に対し、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

今後の計画はまだはっきりと決めていません。新たに別のパートナーを探すのか、日本語教育という枠組みの中でピボットするのか、色々とやりようはあると思うのですが、この一年はとにかく働き詰めだったので、少し時間を空けて頭を落ち着けたいと思います。ただ、現在取り組んでいるコンテンツ作成は最後までやるつもりです。中途半端にしておくのも気分が悪いですし、一度作ったコンテンツは先々で活きてくると思うので。

Wasabiの「地方の年配者と世界の日本語学習者を繋ぐ」というプロジェクトは、とても多くの人を巻き込みました。それだけに、組織の内部崩壊という非常に滑稽な結果を招いたことが残念でなりません。協力してくださっていた皆さま、本当に申し訳ありませんでした。29日以降は久々に地元に帰ろうと思います。

”壁の穴”から21世紀の教育を考える

 私は現在「地方に住む年配者と世界の日本語学習者を繋ぐ」をコンセプトにした、Wasabiという語学学習サービスを運営しています。が、実はこのアイディア、私のオリジナルではありません。海外で既に実例があるものを、日本語教育という分野で真似させてもらっています。"Hole in the Wall(壁の穴)"というプロジェクトが、僕がWasabiを始めた大きなきっかけでした。この記事では、"Hole in the Wall"と、その後進である"School in the Cloud (クラウド上の学校)”プロジェクトを通じて、21世紀の教育について考えてみたいと思います。

 

 自己学習環境、SOLE (Self-Organised Learning Environment)

 壁の穴プロジェクトについて、詳しくは上の動画を見てください。このプレゼンは2013年のTED賞を受賞しています。動画は20分ほどあるので、見る時間がない人のために、WIREDが書いた記事の一部を下に引用します。

わたしがいまから13年前にインドで手がけた実験「Hole in the Wall」は、インドのスラムの街角にコンピューターを置いて、子どもたちに自由に使わせるというものでした。そこでわたしは、「子どもは人に教わることなく学ぶことができるか」という問いを検証しようとしたのです。結果はこうです。「何人かのグループになればそれができる」。次に出てきた問いは、コンピューターの使い方を学んだ子どもたちは何をするか、ということです。大方の予想は「ゲームなどで遊ぶだろう」というものでした。しかし、しばらくすると子どもたちはゲームに飽きて違ったことを始めます。そしてGoogleに行き当たるのです。そこで彼らは宿題の答えをGoogleで探し始めます。そこで次の問いが出てきます。「子どもたちは果たしてGoogleを通して何かを学んでいるのか」。研究の結果わかったのは、彼らは確かに学んでいるということなのです。

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 上は実際のその写真。しかもこれ、パソコンの設定言語は英語です。インドは第二公用語が英語とはいえ、スラムの子供たちは英語がわかりません。その状況下で、自分たちで学習を進めていくのです。驚きですよね?このプロジェクトは、環境さえ整えれば、社会的階層や国籍を問わず、誰でも学習を進められることを示唆していると思います。また、主体的に学習を進めることができるので、上手く活用すれば、それぞれが自分の個性や興味に合わせた内容を学ぶことができるようになるはずです。日本で教育といえば、学校に行って、椅子に座って、黒板を写す。わからないところは塾で復習する。そんなイメージが強いのでないかと思います。皆さん、そんな勉強が好きでしたか?そんな勉強を我々は21世紀も続けていくのでしょうか?

学校不必要論

 パソコンで勉強できるのなら、学校なんかもう行かなくていいじゃん!…こういう議論もありますが、この壁の穴プロジェクトの発起人であるスガタ・ミトラ氏は、イギリスとインドにそれぞれ学校を作りました。それがSchool in the Cloud (クラウド上の学校)です。ここでは、先生が生徒に何かを教えることをしません。代わりに、先生は生徒に想像力や興味心をかきたてる質問をします。生徒がその答えを先生に教えます。その質問は先生すら答えがわからない、もしくは決まった答えがないようなものです。例えば、How do we remember and why do we forget?(我々はどのように記憶し、なぜ忘れるのか?)のようなもの。あなたは答えられますか? 生徒は、同級生と協力し、インターネットで調べ、なんとか答えを考えます。下は実際のクラスの様子。日本語字幕はありませんが、雰囲気はわかると思います。

 

Self Organized Learning Environments from Open Lab on Vimeo.

 

 ああ、なんて面白そうなんだ…。予備知識の学習をどうしているのか気になるところですが、他の動画を見るに、インターネット上のコンテンツを活用し、自主的な勉強を促しているのでしょうか。それで効果が出るのか?という疑問も浮かびますが、スガタ氏はTEDのプレゼンでこう話しています。

周囲からこの方法はどこまで応用可能か聞かれるようになりました。そこで私は、ある非常識な提案をすることで、自ら持論を否定しようと考えました。バカバカしい仮説を立てたんです。それは「インド南部の村に住む タミル語話者の子どもたちは、コンピュータを置いておくだけでDNA複製の生命工学を英語で学ぶだろうか?」

結果は0点と予想していました。数ヶ月間コンピュータを置いておこうとも、どうせまた0点だろうから研究室へ戻り「やはり教員が必要だ」と、述べるつもりでした。インド南部のカリクパムという村にコンピュータを設置しました。DNA複製に関する様々な情報をダウンロードしておきました。私もほとんど理解できない内容でした。

 

子どもたちが駆け寄ってきて、

「何これ?」
「大事な面白い内容だよ。でも全部英語なんだ。」
「英語の難しい言葉や図や化学をどうやったら理解できるの?」
「見当も付かないよ。じゃ、もう行くね。笑」

 

数ヶ月そのままにしてテストをしたところ0点でした。その2ヶ月後も 子どもたちは 「何にもわからない」と言いました。その2ヶ月後も子どもたちは「何にもわからない」と言いました。

 

「まあ無理だろうね。」
「でも、何もわからないと思うまで 何日ぐらい頑張ったの?」
「あきらめてないよ。毎日見てる。」
「2ヶ月かけて何もわからないのに、何故まだ見てるの?」
「DNA分子の不適切な複製で疾患が起きること以外は何もわからないの。」
「(笑)」

 

そこでテストをしてみました。教育的に考えられない結果でした。0点から30点へ向上。猛暑の熱帯地域で木の下にコンピュータを2ヶ月置いただけ。 知らない言語で、10年先に習うような内容を学習してしまう、とんでもないことです。しかし、ビクトリア時代の基準では30点では落第です。合格まで上げるには あと20点必要です。

教師がいなかったので、代わりに子どもたちの遊び相手の22歳の女性会計士に頼みました。手伝ってやってほしいと言うと、彼女は「お断り」と答えました。「理科は習ったことがないし、子どもたちがあの木の下で1日中 何をやってるのかわからないから。」私はこう言いました。「お婆ちゃんになればいい」「どういうこと?」「後ろに立って、子どもたちが何をやっても 『うわーすごい!どうやったの? 次は?』 『私が皆ぐらいの頃はそんなのできなかったわ!』 と、お婆ちゃんが言うようにね。」

 

それを2ヶ月続けてもらったところ、成績は50点に跳ね上がりました。カリクパムの子どもたちは、ニューデリーの生命工学の先生がいる裕福な私立学校の生徒に並びました。

 

 どうでしょうか?スガタ氏はこれをThe Method of the Grandmotherと呼んでいました。(笑) 自己学習環境と、生徒の意欲をかきたてる仕組みがあれば、きちんと学習効果は出るのです。今の日本の教育は、教科書に書いてあることを生徒に教える、というのが主流です。皆が同じスピードで、同じ知識を習得することが求められます。小学校では、まだ習っていない漢字を勝手に使うと注意を受けることもあるそうです。

 学校が不必要であるとは僕も思いません。しかし、既存の窮屈なものがこれからの時代に合っているとも思いません。21世紀はとても複雑な時代です。急激な技術革新によって、社会は猛烈に変化していきます。子供たちの多くは、大人になったとき、今はまだ存在しない仕事に就くと言われています。そんな時代だからこそ、自主的に学ぶ力、他者と協力する力、答えのない問いに答える力、ITを活用する力、そんな力が身につけられる教育にシフトチェンジすべきでないのかと僕は思います。

Skype Granny

 スガタ氏の取り組みは上記だけではありません。教育は住む場所によってクオリティの差が出ます。発展途上国になればなるほど、公的教育が充実していることは少なくなります。また、田舎に行けばいくほど、優秀な先生は減ります。そうした問題に取り組んでいるのが、このSkype Grannyです。Grannyは「おばあちゃん」という意味です。これも日本語字幕はありませんが、動画を見てもらうとイメージが沸くと思います。

 

Being a Skype Granny on School in the Cloud from Open Lab on Vimeo.

 

 このイギリスの女性は、スカイプを通じて、インドの子供達と話しています。ただ、具体的に何かを教えているわけではありません。子供達の好奇心を刺激し、勉強そのものへの姿勢を育てようとしています。歌を歌ったり、絵を書いたり、何かを作ったり、時には子供達が提案してきたことを一緒にやります。その過程で、子供達は文字を読んだり、英語を勉強したり、社交性や、問題解決能力、勉強への習慣を身につけていきます。

 スガタ氏のメソッドの中で、もっとも大切なのは、自己学習環境と意欲をかきたてる仕組みです。学校が先進国にあっても、発展途上国にあったとしても、インターネットを通じて、十分な学習環境を作っていく。僕はそんなSchool in the Cloud (クラウド上の学校)がとても素晴らしいと思います。

21世紀の語学学習

 最後に、自分がいま取り組んでいることを少し書きたいと思います。ポイントはやはり「自己学習環境」と「意欲をかきたてる仕組み」です。実は、これまで書いてきたことは、語学学習と非常に親和性が高いんです。語学習得に必要な知識、例えば、文字の書き方や発音、文法などはインターネットを通じての独学でも十分に身につけることができます。そこで、まず私たちはインターネット上での学習環境を整えていこうと考え、 Complete Roadmap for How to Speak Japanese というものを作りました。これを読めば、日本語が話せるようになるまでの手順と、取り組むべき教材がすべてわかるようになっています。また、Wasabi’s Online Japanese Grammar Reference という新たなプロジェクトもスタートさせました。これは必要な文法の解説をすべてインターネット上に公開し、誰もがいつでも文法でわからないところを調べられるようにするというものです。これが完成すれば、日本語学習の為の自己学習環境は整ったと言えると思います。

 その一方で、独学はモチベーションを維持するのが難しいと言われています。また、語学学習には、ネイティブスピーカーと会話の練習をすることが必要不可欠です。そこで私たちが取り組んでいるのが「地方に住む年配者と世界の日本語学習者を繋ぐ」Wasabiなんです。今の日本語学習は費用がかかりすぎます。それに語学学校(オンライン・オフラインともに)に行くと、文法書を使ったインプット型のレッスンが主流です。しかし、そうした詰め込み型学習をしなくても、インドの子供達のように、自分達で自由に勉強していけばいいんです。日本語を勉強する動機は人それぞれだし、勉強できる環境がインターネット上にあるんですから。むしろ、学習者に必要なのは、Skype Grannyのような学習に辛抱強く付き合ってくれ、学習を鼓舞してくれる存在ではないでしょうか?

 スガタ氏は「クラウド上に学校を作りたい」と言いました。この取り組みが上手くいくか、まだ誰にもわかりません。アイディアに共感した世界中の教育者が、それぞれのやり方で挑戦をしている真っ最中です。僕もその一人になりたいと思い、Wasabiを始めました。インターネット上に自主学習環境を作る、そしてITを活用して意欲をかきたてる仕組みを提供する。…もうすぐサービスを始めて一年が経ちます。ずっと開発に集中していた成果もあり、自分がやりたかったことが徐々に形になってきました。後はそれがどう転んでいくのか。はたして市場に評価されるのか。さあ、賽は投げられた。

 

追伸:

Wasabiでは一緒に働いてくれる仲間を探しています。興味がある人はtokiwatakuya at gmail.com までご連絡ください。詳しいお話しができればと思います。

何が幸せな人生を作るのか?ハーバード大学の75年間の研究が面白い!

 2016年で最初に見たTED Talksがいきなり大当たりだったので、ブログで紹介したいと思います。テーマは、よくありがちな「幸せな人生の送り方」的なやつ、しかしその結論に辿り着くまでのプロセスは全くありがちではありません。英語が問題ない人は、ぜひ実際のプレゼンテーションを見てみてください。話し手の声も渋くていい感じです…!

 さて、あなたはいったい何が幸せな人生を作るのだと思いますか?お金、仕事、家族、社会的地位、人生には色んな要素があります。大切なものはきっと人によって違うでしょう。先に結論から入ります。人生は下記によって幸福度が決まるそうです。

  1. 人とのつながり
  2. つながりは数でなく密度

 ありきたりな結論だと思いましたか?僕は思いました。きっとそのようなことを話すんだろうなと。実は、僕はこの手の人生のコツ的な話は、わりと半信半疑で受け止めてきたタイプです。人によって価値観が違うのだから一概には言えないだろうと。しかし、今回は納得せざるを得ませんでした。これが研究だ、そう言わんばかりのプレゼンテーションでした。では、彼らは一体どのようにしてこの結論を出したのでしょうか?

 なんと、この研究では75年にわたり、724人の人生を記録し続けたそうです。始まりは1938年。上流階級と貧困層から対象者を選び、それぞれがどんな人生を歩むのか、その全てを記録し続けたそうです。皆、第二次世界大戦を経験し、ある人は工場のワーカーに、ある人は弁護士に、ある人は貧困層から這い上がり、またある人はその逆に、そしてまたある人はアメリカの大統領に。この記録はただアンケートを送るのではなく、彼らの家に出向き、本人だけではなくその家族にもインタビューをし、健康診断までも行っています。話し手のRobert Waldinger氏は4代目のディレクター。また、724人の内の60人は今もまだ生きており(みんな90代)、この研究への協力を続けています。まさに執念。

 そうして一人ひとりの人生を記録することによって出たのがこの結論です。人生の幸せは、お金や名声、ハードワークをすることからは生まれない。良い人間関係こそが人を幸せに、健康にしてくれると。そう、人間関係は幸福感だけでなく、人の健康面にも大きく影響を与えていることがわかったそうです。50歳のときに良い人間関係を築けていた人は、80歳でもっとも健康でした。これは精神的な幸福感よりも、より顕著に差が出たそうです。

 ところで、余談ですがプレゼンテーションの中の問題提起の一部で、「いい人生を送るために、我々は決まって仕事に熱心に取り組むように言われている」と、日本のオフィスの写真が出ます。今の20~30の世代は価値観が変わってきていますが、家庭を顧みずに働きまくることが日本のサラリーマンの代名詞でした。それがまるで幸せになれない生活パターンの典型のような感じで取り上げられるのは複雑ですね…。

 僕は仕事柄、50歳~70歳の人と接する機会が多いのですが、人生はまさに十人十色です。家族と幸せそうに暮らしている人もいれば、単身で寂しそうにされている人もいます。この研究結果を聞いて、定年退職後に年配者が活躍できるセカンドライフがあることは本当に重要だなと再確認しました。ミクロに見ても、活躍できる=他人に必要とされるというのは日々のこれ以上ない活力になります。マクロに見ても、迎えつつある少子高齢化社会の中で、年配者が活躍できる=社会的価値を生み出せるというのは経済に大きなインパクトを与えます。そして、高度にインフラが発達した日本に、今の技術進歩があればそれも不可能ではないと思います。 

 自分が年を重ねる度に思いますが、人生というのは面白い。全てが上手くいく訳じゃありませんが、だからこそ面白い。その思考錯誤をしている感が人生の醍醐味なんだと思います。しかし、それが一人でただ思考錯誤をするのはちょっと違いますよね。それだと「もがき苦しむ」って感じになってしまう気がします。このワクワクする思考錯誤を多くの人に提供できるようなサービスにしたい、そんなことをこの動画を見た後に考えました。皆さんはどう思いますか?人生を幸せにするものは、やっぱり「人とのつながり」なんだそうですよ。しかし、この75年の研究をした仲間というのは、それこそすごいつながりの密度ですよね。この人たちが一番人生を楽しんでいそうだ…!

 

 

2015年を振り返って

 毎年のように言っていますが、早いものでもう1年も終わりですね。年を重ねる度に、時間の流れが早くなっていくように感じます。皆さんはこの年末をいかがお過ごしでしょうか?私は28日が仕事納めで、後は頭の整理をしながら、のんびりと年を越す予定です。そして、毎年のことながら、振り返りを視覚化することによって、より明瞭に2016年に取り組んでいければと思います。

 

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※島原の「山の上カフェ」から一枚。山と海の距離が近い。

2015年の振り返り

 2015年をざっくり振り返るとこんな感じでした。やはり新たに起業しただけあって、Wasabi色の強い一年ですね。相変わらずジェットコースターのような日々でしたが、面白おかしく過ごせたのではないかと思います。

  • 2月 Wasabiトライアルを開始
  • 3月 インドの日系商社の退職を決意
  • 5月 退職
  • 6月 インドから帰国 & 新会社設立
  • 7月 Wasabi リリース
  • 11月 海外視察開始
  • 12月 中国滞在中

  あらためて自分で見ても、なかなか思い切りのいい人生だなあと思います。たしかWasabiの構想を持ち始めたのが2014年の11月頃で、そこからメンバーを探して、サービスの土台を作って、3か月でトライアル開始、その翌月には退職を決めるって。「ちゃんと市場調査なんかはしてんのか?」って感じですよね。今回の起業は完全にプロダクト・アウト型のチャレンジです。ある程度は市場を見てから参入を決めていますが、商品は自分たちが良いと思うものを全力投球しています。一回目の起業はマーケット・イン型で、状況にあわせて売れるものを売るという感じでした。私が経営者だったのは4年間でしたが、潰さないことに徹底すれば、会社を経営するのはそこまで難しいものではないと感じたのを覚えています。ですが、やりたいことをやるというのは全く別の難しさがあります。もちろん、だからこそ面白いのですが。「毎日を刺激的に過ごせるのはなんと幸せなんだろうか」…そんなことを日々感じていた一年間でした。

2015年の良かったこと

 新しい仕事に前向きに挑戦できたことが今年は良かったと思います。実は前から敬遠していたプログラミングでしたが、必要に迫られて自分でHPの開発を行いました。1カ月ほどかけて、Codecademy のコースを4つ受講し、専門書を読んで、既存サイトのコードをひたすら書写しました。やっている途中に、これは英語学習と要領は殆ど同じだなと感じました。原理原則を学び(言語でいう文法など)、後はただ上手い人の真似をする、そうすることで誰でも一定のレベルまでは到達できるものだと思います。僕はまだ、HTML・CSSPHPを触った程度ですが、これより上のレベルのプログラミングが必要になっても、(プロのエンジニアにお願いするか自分でやるかはさておき)対応していけるだろうなという感覚があります。

 日本語という言語に対する知識や、英語でのアウトプットに対しても、初めての経験ながら、ひとまずは満足できる内容になったと思います。例えば、7月後半からWasabiで日本語に関するブログを書き始めたのですが、5カ月間で122記事を書きました。直近の は vs. が: Five Points You Need to Know という助詞の「は」と「が」の違いを説明した記事は、2日間で121シェアされ、多くの日本語学習の人からコメントをもらいました。日本語スピーキングテストやレッスン教材の開発など、時間の経過に比例してたしかにクオリティが上がっています。

 これは、新たな分野に対して自分なりの勉強の仕方が確立されてきたことが大きいです。現代のような技術が急速に進化していくこの世の中、こうしたQuick Learnのスキルは重宝します。インプット・アウトプット、両方の質の向上を感じることができた一年でした。

2015年の悪かったこと

 残念なことに、直接の業務に関係のない勉強が完全にストップしてしまいました。CIMAという英国勅許公認管理会計士の勉強をしていましたが、15~6ほどあるうちのテストに2つ合格したところで中断。英語のスピーキングの練習も中断。去年から購読しているThe Economistも溜まりに溜まっています。今は仕事が終わったら寝る、そんな暮らしの繰り返しです。これはいかんなあ…と。僕の相変わらずのコンプレックスは器用貧乏であることです。大体のことは人並みにはこなせる、そのキャッチアップも早い自信があるのですが、悔しいことに専門性がありません。日本語の知識も日本語学者の人よりあるわけでもなく、プログラミングもプロのエンジニアの人には到底及ばず、英語も海外市場の知識も人並み以上であってもプロではない。どれも中途半端なんですよねえ。この汚名を返上すべく、コツコツと勉強しようと思っていたのですが、これが途中で止まっています。これからは複数分野の橋渡しができる人材の時代だ!…なんていう意見もありますが、そこで自己肯定をするわけにはいかないんですねえ。

2016年の目標

 2015年の反省を踏まえて、あえての目標設定。2016年はさらに業務に集中する一年にしたいと思います。毎朝1時間は勉強タイム…そんな設定もできましたが、2016年は休んでいる時間以外は仕事に集中します。プロダクト・アウトでの起業、僕はいまのサービスを心から好きだし、市場に絶対存在するべきものだと思っています。それだけで売れたら苦労しないのが商売ですが、その商品を片手に真っ向から正面突破してやるつもりです。そして、またしてもあっという間に過ぎるであろう2016年も、後悔を一つも残すことなく存分に楽しむつもりです。2016年は3月から数カ月は日本、それから東南アジア圏を訪問するつもりです。タイミングが合う方はぜひお茶をしましょう。相変わらず住所不定でフラフラしている僕ですが、2016年もどうぞよろしくお願いします。